大会長挨拶
中村 純
第21回日本産業精神保健学会 大会長
中村 純
(産業医科大学医学部 精神医学教室 教授)
職域において、メンタルヘルスの不調(主にうつ状態・うつ病)などで休職している人は相変わらず多い。政府は、健診でメンタルヘルスチェックを行う方針であるが、その方法、事後措置や受け皿となる医療機関、さらには復職支援の方法、復職後のフォローアップなどさまざまな過程での課題は多い。このような健診が職場のメンタルヘルス改善に本当に役立ち、労働者の精神疾患の一次予防が可能となるであろうか。今後とも産業医を含む産業保健スタッフや人事労務担当者と臨床部門のスタッフとの間の連携が、他の身体疾患より精緻に行わなければならないと思われる。外部の健診機関やリワーク施設の質の均てん化も必要である。そして、職場に活力があればメンタルヘルス不調者は減少するのではないかと考えられる。そのためには、労働者のワークライフバランスが重要である。そこで本大会では、ワークライフバランス提唱のシンボルともいえる佐々木常夫氏を迎え、「個人も組織も成長するワークライフバランス」という特別講演を予定した。また、厚労省から労働安全衛生法の一部改正に関する説明を受け、職場でのメンタルヘルス不調の早期発見、リワーク、中小企業の課題、海外労働者のメンタルヘルスなどさまざまなシンポジウムなどを考えている。日本産業保健学会が産業医科大学主催で行われるのは、たいへん意義があり、光栄なことと思っている。是非、時間がある方は産業医科大学を見学して頂ければと願っている。そして多くの会員に集まって頂きたいと考えている。なお、懇親会は、歴史ある西日本工業倶楽部を予定している。